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2005.05.11

フェラーリエンジンの魅力はバランスから?

福野礼一郎氏の「ホメずにいられない」(双葉文庫)の39ページに「チューニングの秘密」としていわゆる「広報車」チューンの意味について書いてあります。

広報車というのは発売時に自動車ジャーナリストに試乗レポートのために提供する車のことです。一般に普通に売られている車よりも性能が優れていて、特別なチューンがされているのではないか、と噂されています。要約すると福野氏が広報車を知り合いのエンジンチューニング屋に持ち込んでばらしてみたところ、特にチューニングは施されていなかったが、各部品や全体の精度やバランスが非常に優れていたのだそうです。広報車は生産初期のプロトタイプ、量産試作車に近いものなので、一部手作りだからなのかもしれませんが、たとえばそれぞれのピストンの径や重量の誤差などがほとんどなくバランスが取れているのだそうです。これが全体的にできていると、フィーリングも素晴らしく、パワーも感覚で20馬力位違ってくるとか。そしてこれをすべての車についてやろうとすると、普通の車は600万円位になってしまうとかいう話が書いてあります。

フェラーリは手作りの車なので、クランクシャフトなども200キロの合金の塊から1本づつ17時間かけて20数キロにまで削りだして作るのだそうです。ピストンなども実験室のように白衣をきて眼鏡をした女性が8本セットでゲージで測りながら木箱に入れています。( "Inside Ferrari" 1992年ソニーマガジンズ刊より 現在は絶版) 

その結果、通常の量産車とは違い、非常に高い精度でバランスが取れたエンジンになっているようです。たとえばピストン、日本の普通の車は10グラム程度の誤差はあるそうです。これは「製造公差」の範囲内でこの程度誤差があっても性能にはまったく影響がないのだそうです。SモータースのOさんによると、フェラーリのピストンの重量を測ると、誤差は4グラム以下なのだそうです。つまりそれだけ均一にできているのだそうです。エンジンを組むときに8個なり12個なりのピストンを数あるうちのなかから均一なものを組にして選んでいるようです。

それがフェラーリのエンジンのフィーリングのよさ、音のよさとして出ているのだと思います。

ちなみにBMWは量産車で唯一、カムシャフトのバランス取りをしてエンジンを組んである車だという話を10年以上前のカーグラフィック誌で読んだことがあります。BMWのエンジンも非常に気持ちよく回りますが、単に馬力やトルクといった数値では測れないそういう部分こそが、高いクオリティと(コストにも)つながっているのだと思います。最近のほかの車はどうなんでしょうか?ご存知の方はいらっしゃいませんか?


DSC02496s
写真はフェラーリ・ブランチで停めた駐車場にて  手前は328です。


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コメント

oldpineさん、詳しい説明をありがとうございます。

AlpinaなどもBMWと排気量が同一のものがありましたが(B10 3.5など)、精密に再度組み立てられていたため、まったく別物(音からして)だったそうですね。

ディドリ

投稿: ディドリ | 2005.05.31 00:07

はじめまして!タイトルに惹かれてやってまいりました。クルマに対しての真剣な取り組みが伝わってきて興味津々。楽しませていただきました。

ところで「広報チューン」に関してですが、ようはバランスの問題ですね。エンジンパーツにばかり目がいってしまいがちですが、そうではなくタイアのフィッティングから始まって、さまざまなパーツの精密な組み付け、エンジン調整などなどそれらの総合的なバランスがとられたときに「広報チューン」が生まれる、ということだと思います。広報チューンなんていうと一部のためのスペシャルなもの、と聞こえがちですが、ようは新車に精密な「りフィッティング」をおこなったもの、と考えるとすっきりします。
新車のフィッティング、というか「デキ」はよくて70パーセント。それらを100にする整備が最初から施されていれば公道を走るクルマはすべて「広報チューン」となります。そう、新車は組まれただけのもので、調整がなされていないのです。それに気がついているガレージで手を入れると車は別物に変身します。

これは車種を問いません。ヴィッツしかり575しかり(笑)クルマは全部一緒です。

http://www.tokuichiauto.co.jp

ってけしてまわしものではありませんよ(爆)
広報チューン、べつに手が届かないわけではない、とそういうことを申し上げたかったわけで・・・

長々失礼しました。

投稿: oldpine | 2005.05.28 18:32

ピストンですが、実はトヨタ純正でなくジュンマシンショップというところが英国コスワースに製作依頼したアルミ鍛造ピストンなのです。ですから削る前から1g以内の範囲に収まっていました。コンロッドは純正ですが、それでも2,3gだったと思います。

投稿: のりっく | 2005.05.18 22:40

やー、のりっくさんっていつもすごいですね。

エンジンを自分で組み立ててしまうのですか!!
私も廃車の軽自動車のエンジンでももらってきて
いじってみようと考えていましたが、実用車の
エンジンを組むとはすごいですね。今度教えて
ください。
で、最初はセリカのピストンの重量差どのくらいありましたか?

投稿: ディドリ | 2005.05.17 07:46

フェラーリの公差の小ささは手作業ならではの良さですね。でもバルブタイミングとかは結構狂ってるという噂もあって、ディドリさんのようにプロの手でリフレッシュすると本物になるのかも知れません。
私もセリカのエンジンをブローさせてしまい自力で手組みで直しましたが、ピストンやコンロッドなどはリューター片手に0.1gまで揃えました。(^^) やっぱり高回転での滑らかさが違う気がします。

投稿: のりっく | 2005.05.17 00:32

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オーナが変わることでクルマには様々な影響が及ぶ。頭で理解はしているつもりでもこれ [続きを読む]

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