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2004.12.08

伝説のタイミングベルト

 フェラーリは70年代からこのところずっと、市販車のエンジンのカムの駆動にタイミングベルトを使ってきました。国産車だとベルトでも10年10万キロ位の耐久性があるのであまり気にする人はいませんが、ヨーロッパ車に乗っている人にとっては、カムの駆動がチェーンかベルトかは非常に大きな関心事です。BMWも一時期、タイミングベルトを使っていて、私もこれを走行中に切って大変な目にあったことがあります。走行中に切れるとピストンの上部とカムで駆動されるバルブの同期がとれなくなり、衝突してしまいます。通常ピストンは平気ですが、バルブの方が曲がってしまいすべて交換することになります。BMWの場合は2バルブのSOHCだったので6気筒でも12本で済みましたが、フェラーリのV8はDOHC4バルブなので32本になります。バルブも新しいものと交換するだけなく、エンジンの使い具合によってそれまでのと同様に手作業で研磨してすり合わせる必要があります。

 BMWの場合も数十万円したと思いますが、フェラーリの場合はこれが200万円以上になるといわれており、フェラーリオーナーの間では「タイミングベルト切れの恐怖」という伝説が語り継がれてきました。BMWなどはすでに2世代前からチェーン方式に変わり、あまり寿命を気にしなくてすむようになりましたが、フェラーリは相変わらずベルトを使い続けており、漸く今年発表されたF430ではチェーンに変わったということです。以前はチェーンはベルトに比べて音が大きい、という問題があったようですが、最近はチェーンでも十分静かになりましたし、第一フェラーリのエンジンはそもそもうるさいものなので、静粛性を気にしてベルトを採用していたとは思えない感じです。

 ちなみにフェラーリ本社の指定ではタイミングベルトは2年か走行2万キロのどちらか早いほうでやるということになっています。(当時のBMWは4年4万キロでした) 単にベルトを交換するだけならば通常の車だとベルト代1万円と工賃1万円という程度ですが、フェラーリの場合はいちいちエンジンを下ろす必要があり、工賃がそれだけで30万円といわれています。

 そしてエンジンを下ろすからにはついでにカムシールの交換やウォーターポンプの交換、ベルトテンショナーなどの交換、タペットの調整もやりましょう、ということになり、その結果タイミングベルト交換は最低でも50万円、一般に60万円ということになります。2年に1回60万円の費用がかかるんではたまらないですね。でもこれを怠ってエンジンのヘッド周りのオーバーホールが必要になると200万円コースですから、これも恐怖というわけです。

 以上は本や雑誌で読んだ知識ですが、専門店Dのメカニック氏によると、4,5年は大丈夫ですよ、といいます。整備工場SのOさんによると、Oさん自身今の355チャレンジの前には348にのっており、348のタイミングベルトは結構丈夫で切れたという話は実際は聞いたことがない、89年式の348で3万キロ以上走ってまだ一度も交換していないのも知っている、といいます。モンディアルTのエンジンは348と共通ですから、これは意外でした。

 それで私の車は、というと買うときに確認して昨年12月の車検の時にやってあるから当面大丈夫(ただしその時の整備記録簿はない)、ということだったのですが、今見ているSのOさんによると、タイミングベルトを交換するときに必ず緩める部分のナットにレンチがあたった形跡がないから、交換していないのではないか、と言っています。

 走行中にタイミングベルトが切れると走行不能になりますし、常時200万円の賭けをしながら走るのは心臓に悪いので、やはり来年にでもタイミングベルトを交換しようか、と思っています。

DSC00746.jpg

 Sで整備中の私のモンディアルt、後ろに移っている512TR?はタイミングベルト切れではないものの、エンジンヘッドのオーバーホールが必要となって200万円超の整備が必要だそうです。12気筒48バルブだと大変です。

(追記)

 2005年2月からタイミングベルト交換の作業に入ったところ、やはり1回はタイミングベルト交換を行った形跡があったそうです。タイミングベルト交換と一緒に行われるウォーターポンプについても交換された跡がありました。ただし、タイミングベルト自体はちょっとたるんでいて、ウォーターポンプのベアリングも相当がたがきており、タイミングベルト駆動のスプロケットもガタがきており、内部のテンショナーもスポット溶接の3箇所中2箇所がはがれてがガタがきているなど、やはり交換してよい時期だったと言うことが判明しました。 購入にあたっては、前年にタイミングベルト交換してあって、あと4年くらいはやらないで済む(その分維持費がかからない)、というのがこの車を選んだ決め手だったんですが、結果的には交換してよかったと思います。

 ちなみにタイミングベルトが切れると、修理は3ヶ月で費用は180万円だそうです。(経験者から聞いた話) また、タイミングベルトを交換して5000キロで切れたということもあるそうです。下手なところが交換すると、ベルトがたるんでいて、ガイドピンにこすれてベルトが早く擦り切れてしまうのだそうです。

 福野礼一郎氏の「極上中古車を作る本」には、フェラーリのような車は、中古で買ったらすぐにタイミングベルト交換をしないと安心して乗ってられないということが書いてありますが、本当にその通りですね。ちなみにタイミングベルト交換やカムシールの交換など一式のことをすることを「初期化」と読んでいるのを見たことがあります。

  

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